1、錠と鍵 「鍵をかける」と言いますが、正確には「鍵で錠をかける」 です。 鍵穴に差込み施解錠する道具が鍵、鍵穴がある側が錠です。 錠にはいろいろな種類がある。 建物には、開き戸、引き戸、窓・・がありそれに応じた錠。 運用として、住宅、ホテル・・とありそれに応じた錠。 たとえばホテルは朝食時に施錠しないで、どろぼうに入られることが多いので自動錠、オートロックに。今、一番出ている錠が電気錠。 海の近くのホテルに引違い錠(品番:W1694の18ピン)を納品したが、不具合がない。 錆びにくい材料を使っている。
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2、素材 1、鉛合金 黄銅、真鍮とも呼ばれ、銅60% 亜鉛40% (比率により70:30なども) 2、青銅 砲金、ガンメタルとも呼ばれ、銅90% 錫10%。銅の成分が多くなると赤くなる。 3、鉄 ステンレスは、鉄にクローム、ニッケル をまぜたもの。炭素を混ぜて強くしたものもある。 割合で、SUS304 やいろいろ呼び名がある。 4、洋白 銅にニッケルをまぜたもの。銀の代用品。 オーダーで製作した黒田辰秋氏デザインの取手を見せてもらいました。美しい銀色でなめらかでとてもきれいでした。鍵は洋白を使うそうです。普通は真鍮を使うようですが、洋白の方が固くて丈夫な為、何度も抜き差しして摩耗の激しい鍵には洋白。 |
3、製法 1)鋳物 鋳物は、溶かした金属を鋳型に流しこんで製造されたもの。その鋳型の種類で2つ a、砂型 砂で鋳型をつくる。 b、ロストワックス 蝋を使って型をつくりそこに石こうを流し込み、型の蝋を溶かすことで鋳型をつくる。」 (中身のない天ぷらのような、てんぷら粉の中が中空になっているイメージ) ロストワックスの方が精密なものができる。 2)鍛鉄(たんてつ) 溶けた高温の鉄を急に圧縮する。強くなる。 3)粉末冶金 金属の粉末を金型に入れ圧縮して固める。精度が高く固い。 カンヌキの部分は、2トンの力がかかっても破壊されなかったり、鍵穴の部分は何度も鍵を抜き差ししても摩耗しない特殊鋼になっていたり、あの錠の箱には、沢山の種類の素材と、製法が詰まっているのですね。 確かに堀商店さんの錠は重いです。 素材というと、外側に見える取手の部分だけしか意識していませんでしたが、今度は、建具につける前に中の錠もよく見ようと思いました。 |
4、表面仕上げ ・研磨 ・塗装・・・・1、酸化被膜を防ぐクリア塗装 2、発色 オールドブロンズ など ・めっき・・ニッケルメッキなど 東京ステーションホテルの取手 人気のフェロネリシリーズは、 黄銅を素材として鋳造、亜鉛メッキをしてから塗装してある。 |
防犯について。 日本は水と安全はただと言われた時代が長かった。ヨーロッパは侵略の繰り返しで鍵に対する執着が大きい。 日本の防犯は遅れている。 モノロックと呼ばれるにぎり玉の中に錠がついているタイプは昔多く使われたが、防犯性は低い。 堀商店は、はじめて面付けにして防犯性を高めた。 平成6年ころ被害が広がり、こじあけ防止が注目れるようになったが、堀商店は昭和10年にこじあけ防止のあるものを出していた。 建築金物について。 錠前と扉は一体ではじめて防犯性が高まる。いくら良い錠前をつけても、丁番が弱くてドアが傾いてしまうと防犯性が弱まる。だから、丁番も気をつけて選ぶことが大事。 |