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■ 建具作り七ヶ条real estate


建具を作る時に大事にしている7つの事をご紹介します


@【職人】培った技術は使う人のために

A【道具】障子1枚を作るのに20種類の道具を使い分けます

B【材木】100年後も美しく残る建具を想像して木を選びます

C【木取り】木の声を聞きながら、大きな板から最適な部材を切り出します

D【製作工程】最初から最後まで、全ての工程を1人の職人が担当します

E【デザイン】シンプルで飽きのこないデザインは空間を美しく引き立てます

F【修理】百年ともに暮らして頂けるよう、修理ができる作りになっています



 
@【職人】
培った技術は使う人のために

 当社社長の修行時代は、来る日も来る日も、単純な手伝いばかり1年間やらされたそうです。

(以下社長の話)
『他の店に行った同期の仲間から「もう障子を作った」などと聞くと悔しくてたまらなかった。
でも、物を作り始めると難しい建具もいつのまにか出来るようになっていて、仲間をすぐに追い越すことが出きた。
親方はじっくりと「基礎」を仕込んでくれたんだと、その時はじめてわかった。』

当社で職人を採用する時は、ごくシンプルな障子を作ってもらいます。
ごまかしがきかず、基礎ができているか?わかるからです。

「基礎」ともう1つ大事にしていることがあります。
それは、住宅の建具をつくる職人として「思いやりの気持ち」を忘れないようにという事です。

どうしても、技術が上がっていくと技術を誇示するものが作りたくなってきます。
その気持ちが強いと、使ってくれる人の事を忘れてしまいます。
いくら技術が高くても使う人を思わない建具は、優しさがなく良い建具とはいわないのではないかと思います。

基礎がしっかりした優しい職人が5名おります。
職人というと近寄りがたいイメージがあるかもしれませんが、お気軽にご相談下さい。


  
 A【道具】
障子1枚を作るのに20種類の道具を使い分けます


 1つの障子を作るのに約20種類の道具を使います。

1、白引き(しらびき) 2、スコヤ 3、曲がり尺(まがりかね)
 
4、2Hの鉛筆5、6 毛引き(2種類)ここまでが、印をつける墨付けの道具。

次に、ホゾとホゾ穴を作る道具。
8、9、10ノミ(刃先の巾や形で3種類) 11、胴付き

最後に、仕上げの鉋が7種類。
12、ゲンノウ 13、際鉋  14、鉋 15、仕上げ鉋
17、男木用鉋 18、女木用鉋 19、障子紙しゃくり鉋 20、竹の物差し


職人、1人1人の癖が違うので同じ道具はありません。
自分が使いやすいように、きれいに仕上がるように工夫して道具を作っていきます。
だからこそ、手になじんだ道具は大事に使います。





これは、毛引きという名前の木に印をつける道具です。
先がとがっており、正確に印をつけるのに刃は研いで使います。
障子の桟の大きさにあわせていくつか用意しておきます


 
 B【材木】
百年後も美しく残る建具を想像して木を選びます
材木は、社長が買い付けします。
大きな丸太を割った板の形で、建具専門の材木店においてあるものを購入します。
木目や色を見て、建具になったときを想像しながらどれを買うか決めます。

建具用に販売されている細長くカットした棒材という材料は、使わないようにしています。
材料としては問題ないのですが、10年後、20年後・・建具全体が同じ色になるように
同じ丸太からとった材木を使います。

材木だけではなく、障子紙や簾戸に使うスダレも年月がたったときどうなるか?
を考えて選ぶようにしています。



この簾戸は、40年ほど前に納品させて頂いたものです。
木の色は全体に同じように色がそろって、新品のものよりずっと味がでて良さが増しています。



 
C【木取り】
木の声を聞きながら、大きな板から最適な部材を切り出します
木取りとは、写真のように大きな板から建具の部材を切り出していく仕事です。
建具作りの一番はじめの仕事で、出来を左右する一番大事な仕事でもあります。

材木店から買ってきた4mもの大きな板を軒先にずらーっと並べて、腕組みをしながらじーっと
見て、「よしっ、決まった!」というと、あとは素早くパッパッと切り出していきます。
大きな板を見た時点で、建具の仕上がりと、その建具が納まった部屋が頭に浮かんでいるようです。





下の写真。「トロ」と呼ばれる材木の中で一番良いところ

白太と赤太のちょうど境目で、木目が一番まっすぐでつまっています。
ここを部屋の一番メインの場所、例えば、4枚引き違いの真ん中の2枚の召し合わせの部分にもってきます。

また、逆に木目が少し曲がって癖があるようなところは、下桟にもっていく・・というように、適材適所、木を活かした木取りをします。




D【製作工程】
最初から最後まで、全ての工程を1人の職人が担当します



 木取りの後は、分業はせず最後まで1人の職人が手がけます。

@ 削って厚さを決める
A ホゾ、ホゾ穴の加工
B 組み立て

おおまかに言うと、この3つの工程なのですが、
その間に、幾つもの一手間が入って細かくみると10以上の工程になります。




この写真は、加工した後にたっぷりの水でぬらしたところです。
こうすることで、加工の間にできた小さな傷が水で膨らんでなくなります。
水が乾いた後に仕上げ鉋をかけます。すると、「何か光沢を出す塗料を塗ったの?」
と聞かれるほどツルツルになり艶がでます。
この一手間で、年月がたってもモサモサしてこず、きれいな状態が続きます。




  
E【デザイン】
シンプルで飽きのこないデザインは、空間を美しく引き立てます
デザインは、飽きがこずインテリアにもあわせやすいシンプルなものをおすすめしています。
シンプルなものは、不思議と年月が経つほど品が出て魅力が増します。

シンプルななかにも、そのお宅ごとに少しオリジナルな部分をプラスすると、
尚一層、良い建具になります。



この写真は、黒竹を入れた簾戸ですが・・・・。
和室をお茶の稽古に使うので、お手前をする際、下が見えない方が落ち着いて良いとの事で黒竹をすきまなく入れました。(通常は、簾戸は解放感をだすのに黒竹のすきまを10cm位あけて入れます。)

また、引手を低めにつけて、和服での所作が美しくできるようにしました。
色々相談して品があってお洒落なお客様の雰囲気にぴったりの簾戸になりました。

デザインは、図面をおこして何度も検討します。お気軽にご相談ください。



F【修理】
百年ともに暮らして頂けるよう修理ができる作りになっています
 

当社の建具は、修理ができるようになっています。
量産品は、壊れたら終わりというものが多くもったいないなと思います。

木の建具は使い込むと良さがでてくるので、手間がかかりますが修理のきく細工をしています。

例えば上の写真。「鎌ホゾ」というホゾ組で、少し金槌でトンたたくと外れます。また、ぐっと差し込むと、何千回開け閉めしてもゆるまない丈夫さも持っています。昔の人の知恵というのは素晴らしいですね。ただ、この加工も加減が難しくて、緩くすればすぐ外れてしまうし、きついと入らない。
髪の毛1本くらいの加減が必要です。

昔の人の技術と、物を大切にするという気持ちを建具を通して受け継いでいきたいと思います。